2013年11月5日火曜日

【映画】いのちの食べかた


41Zby9EF4QL._SL500_AA300_.jpg

いのちの食べかた
ニコラウス・ゲイハルター

食にまつわるドキュメンタリーは数多くありますが、中でも私のイチオしはこれです。

映像は、鶏や牛、豚が生まれるところから始まる。何も知らない彼らは、餌を与えられ、農場で成長し、何の感情のやりとりもないまま屠殺され、食べられる。家畜が生まれてから食卓にのぼるまでのプロセスが、生々しく見せつけられるのだ。

牛を射殺する場面や、解体シーンの衝撃もさることながら、生まれたばかりのひよこがピヨピヨ言いながらベルトコンベアの上を流れていく光景も、ぞっとする。ナレーションはない。映像は、グロテスクでありながら圧倒的な映像美を追求したカットが、ただただ続いていく。

食べるとは何か?命とは何か?生まれるとは?
いっさい言葉を発しないにも関わらず、痛烈にメッセージを発信する、これぞ究極のドキュメンタリーだと思う。

2013年11月4日月曜日

【映像DVD】岸辺のふたり


ref=dp_image_0.jpg
岸辺のふたり
マイケル・デュドク ドゥ・ヴィット

2001年にアカデミー賞短編アニメーション賞を受賞した作品。たった8分間の映像。複雑な仕組みやテクニックはいっさい使われていない。派手さもない。台詞もない。それでいて、観た後に深い感動を残す、素晴らしい映像です。

幼い時、ボートに乗って去って行った父を、少女は見届ける。いつしか成長した少女は、結婚し、子どもを生んで母となり、そして、年老いていく。しかしいつ何時も、父親の面影を忘れることはなかった。そして人生の終わりを迎えた時、少女は、岸辺で父と再会する・・・

生きている素晴らしさ、家族の絆、人生のせつなさ。誰もが一度は体験する大切な思い出が、より印象的に心に刻まれる、そんな作品です。

また、絵本としても出版されていて、オリジナルの言葉が添えられているのですが、こちらもおススメです。


 

【絵本DVD】MOOMIN それからどうなるの?





ref=dp_image_0.jpg


The Book About Moomin, Mymble and Little My

ムーミン絵本 それからどうなるの?
トーベ・ヤンソン

言わずとしれた、フィンランドからやってきた妖精、ムーミン。日本ではテレビアニメの方がメジャーなような気がしますが、トーベ・ヤンソンが手がけたオリジナルの絵本とDVDが素晴らしいです。絵本は日本語版も出ていますが、輸入版の方が造本を含めてクオリティが高いので、おススメです。

ヤンソンのオリジナルは、ビビッドな配色、装飾、画面構成、全てが芸術品といっても良いくらい美しく、圧倒的な存在感と世界観を持ち合わせています。なぜこれほど立ち入る余地がないほど独特な空気感を生み出せるのか、奇跡を感じざるを得ません。

また、このオリジナルをベースにしたアニメーションDVDも発売されていて、原作の世界観そのままを楽しむことができます。


【絵と詩】宇宙の仏足跡



宇宙はどこにあるのか
叫んだあとに、空が答えた
おまえだよ

私はどこにあるのか
叫んだあとに、私は泣いた
宇宙だよ

そのあと、わたしは泣いた

ずしん、ずしん、と去っていく
大きな空の足跡を
ちょこん、ちょこん、と追いながら

【絵】ねこ


【絵】へび3ひき


【絵と詩】嵐の日に見た夢



嵐が去った昼のこと
街には、ぼくらがやってきた

鳥はうさぎになりすまし
うさぎはお家になりました

虎は子猫に変身し
ネコは石に憧れて


嵐が去った昼のこと
世界は違う街になる



【Movie】THE HISTORY OF MAGAZINE


雑誌の歴史を描いた映像。モーショングラフィクスの使い方、展開の仕方おもしろいです。

【Movie】Black Day To Freedom


2D3Dをシンプルな動きでうまく使っています

【Movie】Coco - Inside CHANEL


シャネルの生涯、歴史の映像。全て白黒で展開されるモーショングラフィクスがとにかくセンス良く、素晴らしい。

【絵本】水の生きもの / インドミティラー画の世界


河出書房新社 / ¥3,990

求めていたのはこれだ!と思える絵本に久しぶりに出会いました。

インドの民俗画、ミティラー画の絵本「水の生きもの」。繊細に画面を埋め尽くす線、うねるような線、ゆるくシュールでいて、かわいさも持ち合わせているのが、ミティラー画の特徴です。日本には絶対にない独特の世界観、大好き。

そして、この絵本が素晴らしいのは、シルクスクリーンで刷った手漉きの紙を一冊一冊、手作りで製本しているところ。絵の色味にも紙にも味があり、ぬくもりが伝わってくる。


以前から私は日本で発行されている多くの絵本に不満がありました。
コストと天秤にかけてということなのだろうけども、紙質、印刷、あと日本語フォントの入れ方、全てにこだわりが感じられないからです。昔、海外で買った時に感動した絵本が、日本語版で発行された時、がっかりした記憶があります。内容は全く同じなのに、紙がつるんつるんで絵の味が抜け、書き文字が機械的なフォントになっただけで、もともと絵本が持っていた味や魂、ぬくもりが、抜けたような気持ちになってしまう。

絵本が訴えかけるメッセージは、必ずしもイラストと言葉だけではない。全てとは言わないけれど、日本のより多くの絵本に、このぬくもりが戻ってくることを祈る。