2013年11月4日月曜日

【絵本】水の生きもの / インドミティラー画の世界


河出書房新社 / ¥3,990

求めていたのはこれだ!と思える絵本に久しぶりに出会いました。

インドの民俗画、ミティラー画の絵本「水の生きもの」。繊細に画面を埋め尽くす線、うねるような線、ゆるくシュールでいて、かわいさも持ち合わせているのが、ミティラー画の特徴です。日本には絶対にない独特の世界観、大好き。

そして、この絵本が素晴らしいのは、シルクスクリーンで刷った手漉きの紙を一冊一冊、手作りで製本しているところ。絵の色味にも紙にも味があり、ぬくもりが伝わってくる。


以前から私は日本で発行されている多くの絵本に不満がありました。
コストと天秤にかけてということなのだろうけども、紙質、印刷、あと日本語フォントの入れ方、全てにこだわりが感じられないからです。昔、海外で買った時に感動した絵本が、日本語版で発行された時、がっかりした記憶があります。内容は全く同じなのに、紙がつるんつるんで絵の味が抜け、書き文字が機械的なフォントになっただけで、もともと絵本が持っていた味や魂、ぬくもりが、抜けたような気持ちになってしまう。

絵本が訴えかけるメッセージは、必ずしもイラストと言葉だけではない。全てとは言わないけれど、日本のより多くの絵本に、このぬくもりが戻ってくることを祈る。



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